1. Purpose(目的)
世界を再解釈するきっかけを提供し、消えゆくものに新たな意味と居場所を与える。
私たちは表現を通して、過去と現在をつなぎ、見過ごされた瞬間に光を当てる。そして未来に託す。
作品によって、人々の感受性と想像力を呼び覚まし、世界観の再構築を促す。
補説.
1.1 創造の本質
1.1 創造の本質
1.1.1 創造とは、内面の掘り下げと外界との対話が交差する行為である。
1.1.2 この行為は、個の表現を介して他者との接触面を生成し、共通の意味空間をひらく。
1.1.3 創作は、完成物ではなく、共有される問いの構造として存在する。
1.1.4 目的は、明確な結論を与えることではなく、感覚や思考を呼び起こす契機をつくることである。
1.1.5 作品は、自己の終点ではなく、他者との出会いの始点である。
1.2 変化の力
1.2.1 表現は、他者の内面に変化を引き起こす可能性を内包する。
1.2.2 この変化は、感受性の回復、想像力の再生、そして世界との関係の編み直しとして現れる。
1.2.3 創造の意義は、成果ではなく、変化の余白を他者に手渡すことにある。
1.3 作品という仮説
1.3.1 ここでいう「作品」とは、単に完成された創作物を指すものではない。
1.3.2 それはむしろ、プロセスの痕跡であり、問いかけの器であり、他者と交わる場である。
1.3.3 「作品」とは、思考・感情・感覚・記憶など、内なる営みが形を持ち始めたものである。
1.3.4 ゆえにそれは、芸術に限られず、言葉、行動、関係性、場づくり、空間、時間の編み方にまで拡張されうる。
1.3.5 「作品」はまた、ある瞬間を留め、他者に委ね、そこから新たな解釈や感受性が発芽する「場」として機能する。
1.3.6 それは独りよがりの表現ではなく、開かれた問いのかたちであり、沈黙すらも含んだ応答のかたちである。
1.3.7 あなたの生き方そのもの、選択の連なり、言葉の扱い方、立ち止まり方もまた、「作品」になりうる。
1.3.8 「作品」とは、自己と世界を媒介する仮説であり、解釈の余白を内包した、持続する対話である。
1.4 媒体(Medium)
1.4.1 媒体とは、感覚と思考を他者へ橋渡しする構造である。
1.4.2 言葉、映像、音、空間、身体など、あらゆる形式が媒体となりうる。
1.4.3 媒体は、内容の従属物ではなく、表現そのものの意味生成に深く関与する。
1.4.4 媒体の選択は、それ自体が問いであり、世界へのスタンスの表明でもある。
1.5 過程(Process)
1.5.1 創作の過程は、成果への手段ではなく、表現の本質的構成要素である。
1.5.2 生成と逸脱、試行と停滞、そのすべてが作品に含まれるべき痕跡である。
1.5.3 過程の共有は、受け手との対話を可能にする入口となる。
1.5.4 創造とは、何かを終わらせる営みではなく、問いを持続させる運動である。
2. Principles(原則)
探求 – Exploration
常識や慣習にとらわれず、新しい視覚的・思想的表現を追い求める。問いかけと好奇心を手放さない。
補説.
2.1.1 探求とは、既知に満足せず、未知へと向かう姿勢である。
2.1.1 探求とは、既知に満足せず、未知へと向かう姿勢である。
2.1.2 それは、単なる情報収集ではなく、自らの感性と知性を使って「問いを立てる」営みである。
2.1.3 問いとは、世界に対するまなざしであり、同時に自己を映す鏡でもある。
2.1.4 重要なのは、問いが自己の内部から生まれていること。そして、その問いがやがて他者との対話を呼び込む性質を持っていることである。
2.1.5 探求する者は、確実性よりも仮説に身を置き、固定された秩序よりも揺らぎの中に可能性を見出す。
2.1.6 探求は、自己と世界との関係を繰り返し編み直す行為であり、それが創造の源泉となる。
2.1.7 したがって、探求とは答えを得ることではなく、「問うに値するもの」を見出し続けることである。
再構築 – Recomposition
断片的なものを編み直し、独自の視点で価値をつくり出す。矛盾も曖昧さも含めて、美として受け止める。
補説.
2.2.1 再構築とは、与えられた枠組みをそのまま受け入れるのではなく、一度解体し、自らの視点で組み直す営みである。
2.2.1 再構築とは、与えられた枠組みをそのまま受け入れるのではなく、一度解体し、自らの視点で組み直す営みである。
2.2.2 それは、破壊ではない。批判でもない。むしろ、理解の深化と再編成によって、新たな視座を得るための行動である。
2.2.3 再構築において重要なのは、元のかたちをなぞることではなく、自分の内側で「なぜそうなのか」を問い直すことだ。
2.2.4 過去の経験や記憶、他者の言葉や沈黙、曖昧な感覚や違和感すらも素材となる。すべては組み直しの対象でありうる。
2.2.5 再構築は、既存の意味を一度保留することから始まる。そして、その空白に対して自分自身の意味を与える。
2.2.6 この営みは、模倣と独自性のあいだを揺れ動きながら、自らの世界像を形成する方法でもある。この揺らぎの中でこそ、自身の文脈が自然と立ち現れてくる。
2.2.7 したがって、再構築とは「世界の読み換え」である。そしてそれは、表現と創造のもっとも根源的な姿勢である。
共鳴 – Resonance
受け手の人生に作用し、言葉にならない感情を呼び起こす。深い対話や静かな変化を生む装置として作品を位置づける。
補説.
2.3.1 共鳴とは、他者と完全に一致することではない。むしろ、異なるままの他者の間に生じる、微細な振動である。
2.3.1 共鳴とは、他者と完全に一致することではない。むしろ、異なるままの他者の間に生じる、微細な振動である。
2.3.2 それは共感とは異なる。共感が「同じ感情の共有」であるならば、共鳴は「異なる感受性の間に起きる反応」である。
2.3.3 共鳴は、言葉の意味を超えて、沈黙や余白にも宿る。明確に説明されなくても、心が動くという現象としてあらわれる。
2.3.4 誰かの表現や行為に触れたとき、自分の中の何かが静かに震える。そこに、個と個をつなぐ回路が一瞬だけ開かれる。
2.3.5 共鳴を重んじるということは、他者を自分に引き寄せることではなく、自分とは異なる存在のまま受け容れる姿勢である。
2.3.6 そのとき、理解は必ずしも必要ではない。必要なのは、開かれた感受性と、すれ違いを恐れない勇気である。この勇気とは、理解されることを前提とせずに差異と共に在るという選択である。
2.3.7 共鳴は、自己の外側とつながる最小単位の対話である。それは、社会の分断を越えて、小さな橋をかける行為でもある。
3. Ethics(倫理)
独立と尊重 – Independence & Respect
表現者としての自由を保ちつつ、他者の解釈と感性に敬意を払う。
補説.
3.1.1 独立とは、他者の期待や評価から距離をとり、自分の問いに忠実であろうとする態度である。
3.1.2 それは、孤立ではなく、流されずに在ることを選ぶ姿勢である。
3.1.3 尊重とは、他者を判断の対象とせず、そのままの感性や解釈を一つの世界として扱うこと。
3.1.4 創作は、個の内側から生まれるが、他者の心に触れた瞬間に「共にあるもの」へと変わる。
3.1.5 だからこそ、表現者は、自らの自由を守ると同時に、他者の自由を尊重する姿勢が求められる。
真摯さと誠実さ – Sincerity & honesty
社会や人々と向き合う態度において、軽薄さを排し、深さを追求する。
補説.
3.2.1 真摯さとは、表現を通じて何を差し出すかを、安易に選ばず、軽んじない姿勢である。
3.2.2 それは、評価や承認のためではなく、自らが考え、感じたことに対して深く責任を持つということ。
3.2.3 誠実さとは、見せかけや技巧ではなく、自らの問いや感情に対して、嘘をつかないこと。
3.2.4 それは、完璧さではなく、過程に対する姿勢であり、不完全なまま差し出すことを恐れない強さでもある。
3.2.5 真摯であることは、作品に「深さ」を、誠実であることは、「信頼」を与える。
持続可能な関係性 – Sustainable Relationships
人や社会、自然との循環を大切にし、使い捨てではない価値を生む。
補説.
3.3.1 持続可能性とは、使い捨てられない価値を育むという視点である。
3.3.2 表現が関係性をつくるならば、それは一度きりの刺激ではなく、あとからじわじわと効いてくるものであってほしい。
3.3.3 自然や人との繋がりもまた、循環を前提にして育まれるものだ。
3.3.4 だから、表現は消費されるだけのものではなく、何度でも再訪できる場所のようであるべきだ。
3.3.5 一過性の反応よりも、静かに続いていく記憶を重んじる態度が、創作における倫理の一端となる。
4. Vision(未来像)
多様な視点が交錯し、解釈が連鎖する世界を創る。
一つの正解ではなく、多くの問いが発芽し、各々が意味を編み直していける場所を提供する。個と世界が再びつながるような、新しい地平をひらいていく。
補説.
4.1 世界は、視点によって形を変える。
4.1 世界は、視点によって形を変える。
4.11 すべての認識は、ある立場からの世界の切り取りに過ぎない。
4.12 したがって、真実は一つではなく、常に多様なかたちを持つ。
4.13 この多様性は混乱ではなく、創造の母体である。
4.2 表現は、他者の視点を想像する装置となり得る。
4.21 見る者の内面に、沈黙していた問いが芽生えるとき、表現はその目的を果たす。
4.22 その問いは、やがて別の問いを生み、連鎖し、他者へと引き渡されていく。
4.23 こうして解釈は閉じることなく、常に開かれてゆく。
4.3 一つの正解を与えることは、思考を止めることである。
4.31 反対に、問いを残すことは、自由を与えることである。
4.32 それは、受け手に再構築の余地を渡すという、倫理的な行為でもある。
4.33 世界を編み直す力は、常に個の内側に宿る。
4.4 この場において、人は再び世界に参加する主体となる。
4.4 この場において、人は再び世界に参加する主体となる。
4.41 ただ受け取るだけの存在ではなく、自らの感性で意味を紡ぎ直す存在として。
4.42 そうして、個と世界の断絶は静かに修復されていく。
4.43 これは、創造によってひらかれる、新たな地平である。
5. 「私たち」という言葉に込めた意志
たとえこの理念を描いているのが「私」一人であったとしても、創造の営みは常に他者の存在と共にある。
作品を受け取る誰かがいて、そこに何かが芽生えるなら、その瞬間から世界は「私」だけのものではなくなる。
誰かの視点、時間、再解釈によって、表現は絶えず変化し、広がっていく。だからこそ、これは私の中に始まりながら、関わるすべての人々を内包する「私たち」の営みである。
補説.
5.1 表現とは、個人の内奥から始まる。
5.1 表現とは、個人の内奥から始まる。
5.1.1 しかし、それが他者に届くとき、意味は変容する。
5.1.2 この変容は、他者の解釈、共鳴、再編成によって生じる。
5.1.3 ゆえに、表現とは単なる伝達ではなく、相互作用である。
5.2 表現は他者の応答によって開かれる。
5.2.1 他者がそれに眼差しを向けたとき、表現は変容し始める。
5.2.2 その瞬間、表現は「私たち」のものとして再定義される。
5.2.3 創造とは、潜在的な共同作業である。
5.3 「私たち」とは、表現を媒介に結ばれる関係の総体である。
5.3 「私たち」とは、表現を媒介に結ばれる関係の総体である。
5.3.1 それは、作者と受け手を分けない概念である。
5.3.2 共に問い、共に感じ、共に意味を織り直す存在たちである。
5.3.3 「私たち」は固定された集団ではなく、変動し得る開かれた関係性である。
5.4 このようにして、「私」から「私たち」への移行は、創造的行為に内在する倫理的契機である。
5.4 このようにして、「私」から「私たち」への移行は、創造的行為に内在する倫理的契機である。
5.4.1 表現は他者の存在を前提とし、その受容によって意味を更新する。
5.4.2 それは独占を否定し、開かれた世界を肯定する態度である。
5.4.3 表現とは、「私」から「私たち」へ向かう通路である。